ゴミ屋敷の過去のトラブル事例とゴミ屋敷に関する条例について

近年社会問題となっているのがゴミ屋敷です。ゴミの山を見掛けるだけでも迷惑ではありますが、ゴミ屋敷が原因となるトラブルも起きています。

そこでゴミ屋敷による過去のトラブル事例について紹介していきます。またゴミ屋敷のトラブルに関する条例についても、併せて紹介していきます。

ゴミ屋敷による過去のトラブル事例とは

ゴミ屋敷による過去のトラブルには、さまざまな事例があります。そこでどんなトラブルの事例があったのか紹介します。

ゴミ屋敷は火災になりやすい

ゴミ屋敷では、出火したときにはぼや火災で済むことは稀で、9割近くが全焼したり隣の家も巻き込む大火災となります。

出火の原因としては、タバコの不始末やトラッキング火災など、どんな家庭でも起こり得る小さな出火です。

しかしゴミ屋敷の場合になると、周囲に燃える材料が多いために火は一瞬にして燃え広がります。

また出火元も埋もれてしまっているため、手遅れになるまで気がつかないと言われています。

またトラッキング火災は、コンセントに差し込んだプラグと挿入口にたまったホコリに着火してしまうトラッキング現象が原因で起こる火災なのですが、ゴミ屋敷は掃除がされていないためホコリも溜まりやすくなるのです。

さらにゴミ屋敷は放火のターゲットにもなりすいことも、火事の原因になっています。

外から見ても分かる戸建てのゴミ屋敷は、特に放火犯のターゲットになりやすいと言われています。

そんなゴミ屋敷のトラブルの事例としては、2020年の12月には神奈川県平塚市で、ゴミ屋敷で火災が発生しました。

このときには、周辺の住宅や店舗など計6棟にも燃え広がり、確認から沈下するまで11時間以上が掛かる大火災となりました。

この出火元のゴミ屋敷は外から見ても荒れている状態だったと言われ、以前から近隣住民から懸念されていたそうです。

ゴミ屋敷が原因で暴行事件に

ゴミ屋敷のトラブルとして、ゴミ屋敷の住人と行政、近隣住人とのトラブルや暴行事件に発展する場合もあります。

そんなゴミ屋敷のゴミは、道路まではみ出してしまうこともあり、2件以上離れていたとしても悪臭が漂うと言われています。

また悪臭の原因というのは、生ゴミの腐敗した匂いやカビの臭いなどで、ゴキブリやネズミなどの害虫や害獣も住みつくと言われています。

そして近隣住民の生活へと影響を与えてしまうため、ゴミを片付けてもらいたい近隣住民と、片付けないゴミ屋敷の住人との意見の違いにより、話し合いで解決しない場合では暴行事件へ発展しまうのです。

具体的な実例としては、2017年11月に愛知県名古屋市の中区のゴミ屋敷で暴行事件も起きていま

その内容は近隣に住む女性がゴミ屋敷の敷地の外へ出ていたゴミを移動してしまい、ゴミ屋敷の住人が激昂してしまったのです。

そして女性の衣服の右肩部分を掴み引っ張るという暴行を加え、現場にいた警察官が犯行現場を目撃し現場犯逮捕する事件が起きてしまったのです。

引っ越してきたマンションの隣がゴミ屋敷だった

賃貸マンションに引っ越してきた人が入居し、数ヶ月で転居することになってしまったゴミ屋敷トラブルもあります。

それは賃貸マンションに引っ越してきたばかりの人の事例なのですが、朝ベランダのサッシを開けたときにどこかから悪臭がしてきたというのです。

驚き臭いの元を探ると、隣の部屋のベランダにたくさんのゴミが放置されていました。

契約のときには気がつかなかったそうなのですが、いつか片付けるだろうとそのまま我慢をしていたそうです。

しかしそのまま1ヶ月が過ぎてると我慢が出来なくなり、管理人に頼み厳重に注意をしてもいました。

そんな中一向にゴミは片付けられず、どんどん増えていってしまい管理人に注意をしてもらったのですが、変わる気配はなかったそうです。

そしてやがて暑い季節になり始めると虫が大量にわくと思い、引っ越しするしかないと決断し入居からわずか数ヶ月で転居をしたというのです。

ゴミ屋敷のトラブルに関する条例とは

ゴミ屋敷トラブルを解決するための条例は、全国で制定されています。

そんなゴミ屋敷のトラブルに関する条例には、どんなものがあるのか紹介していきます。

東京都足立区で初めてゴミ屋敷に関する条例が制定

東京都足立区では、2013年1月1日より足立区生活環境の保全に関する条例を設置しました。この条例によってゴミ屋敷のトラブルに、対処できるようになりました。

この条例は通称ゴミ屋敷条例とも呼ばれ、全国で初めての試みと注目されました。

そんな足立区の条例の特徴は、ゴミ屋敷の住人に対して命令や公表、代執行という厳しい措置を取るというものです。

その一方、支援も可能であると規定した点も特徴です。

ゴミを片付ける環境部のみならず、福祉部や衛星部、建築安全課など、関係各部署を総動員してゴミ屋敷問題に当たるということです。

そして6年間で145件ものゴミ屋敷トラブルを解消したと言われています。

ゴミ屋敷トラブルの行政代執行が全国で初めて行われたのは京都市

京都府京都市では2015年に日本で初めて行政代執行がされ、ゴミ屋敷トラブルが解決したと言われています。

京都市は2009年よりゴミ屋敷問題を把握し、訪問や面談を行ってきました。

その後、2014年にはゴミ屋敷対策条例が施行され、文書での指導や命令も行われてきましが、ゴミ屋敷は改善されていかなかったとそうなのです。

しかし2015年に起きた愛知県豊田市のゴミ屋敷を火元とする火災の事例を重くみた京都市は、ゴミ屋敷の強制撤去を決定したのです。

強制撤去の当日には、市保険局の幹部が行政代執行を行い、住民立ち合いの元強制撤去が行われました。そのときには、市の職員が5人で作業にあったところ、片付けは2時間で終了し、45リットルのゴミ袋が167袋、軽トラック5台分程度にも及ぶゴミが撤去されたと言われています。

ゴミ屋敷問題の条例で定める行政代執行までの流れとは

さまざまな理由からゴミを溜め込むゴミ屋敷となり、悪臭や害虫の発生などで近隣に迷惑をかけたり、不衛生な環境やゴミが溢れていたといった問題を解決するため、多くの地域でゴミ屋敷に関する条例を定めています。

そんなゴミ屋敷問題の条例で定める行政代執行には、行うまでには流れがあります。

ゴミ屋敷に関する条例は、まず地域住民と協力してゴミ屋敷の住民に寄り添い、生活環境のサポートや指導、勧告も行います。

しかし、どうしても改善しない場合の手段として、強制的にゴミを処分する、行政代執行の措置が取られる流れです。

また代執行を行う際には、有識者を集めた審議会が設置されることもあります。

ゴミ屋敷に対応する条例は全国に広がる

全国でもゴミ屋敷に対応する条例は続々と制定されています。

特に人口の多い自治体では制定され、横浜市や大阪市、神戸市などでゴミ屋敷トラブルを解決するための条例は制定されています。

そんな横浜市では、横浜市建築物等における不良な生活環境の解消及び発生の防止を図るための支援及び措置に関する条例が制定されています。

また大阪市では、大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例が制定されました。

そして神戸市では、神戸市住居等における廃棄物その他の物の堆積による地域の不良な生活環境の改善に関する条例が制定されています。

これらの自治体の特徴としては、代執行のみならず支援制度も充実させているのが特徴でゴミ屋敷問題に広い分野から対応してくれると言われています。

ゴミ屋敷

Posted by creo